サカエヤの進む道
サカエヤはどこへ向かっているの?
と、最近よく聞かれます。 その答えになるかどうかわかりませんがこんなことを考えながら毎日お肉と会話しています。
おいしいお肉をお届けするために、自分たちも生産者のはしくれでありたい。
牛肉を生業としている方々が集まるとおもしろいもので各自、持論みたいなものがあって、それはもう話し出したらとまらなく熱いんですね。かくゆう私もそうなのですが、あるとき思ったんです。
「肉のことは語れても、精肉になるまで、つまり牛のことはなにも知らない」と。
肥育農家と繁殖農家の違い、牛の病気、飼料など、会話の中での微かな記憶はあるのですが、それは単語に聞き覚えがある程度でほんとうのところはわかるわけがありません。
私のなかでは記憶に新しい2001年のBSE(牛海綿状脳症)問題。当時は精肉販売者も生産者も大変な窮地に立たされ、なかには廃業に追い込まれた同業者も少なくはありませんでした。
そんなとき、私は交流のあった生産農家をたずねました。想像以上に悲惨な状況を目の当たりにしました。
牛には出荷のタイミングあります。たとえば仕上がった牛を出荷しなければ脂肪がつきすぎて商品価値がなくなります。でも、当時はBSEの影響で牛肉離れが深刻な状況下において、出荷しても売値がつかなかったんです。かと言って愛玩動物ではないので飼い続けるわけにはいきませんし、なんといっても飼料代もばかになりません。
BSEがきっかけで牧場通い

生産農家の皆さん
生産者と販売者は関係性が強いように思われがちなのですが普通は交わることがほとんどなくて、セリの会場で顔を見る程度なのです。
しかも顔と名前が一致しないことがほとんどだったりします。
セリといっても誰でも参加することができません。
買参権を持っている者だけが参加できるので、問屋や卸業者に仕入れを委ねている精肉店は、なおさら生産者と交わることがないのです。
しかしながら、私の場合は、皮肉にもBSEがきっかけとなりそこから牧場通いがはじまりました。
当然、いまも生産者とのやりとりは日課となっており、年々そのお付き合いは濃くなっているのですが当初は私だけだったのが、いまではスタッフはもちろんのこと、お取引先も巻き込んでの交流が盛んに行われています。
私たちの学びの場は、店舗や牧場だけではありません。
気になるお店があればスタッフや生産者の方々と足を運びます。
もちろん取引先にも定期的にお客として伺います。
牛肉を扱うお店では、いまや産地表示はあたりまえで専門的な部位名をメニューにうたったりと努力とアイデアがたえません。
さまざまな売り方のなかで、格付け等級をウリにしているお店も多く見かけます。
数年前なら、なにかの記号かなと疑問符だった言葉も、最近ではテレビや雑誌の牛肉特集のせいなのか消費者の方もA5=最上級の牛肉という認識があるようです。
本物の「おいしい」を食卓にお届けするために
私たちはお客様から「おいしかった」といっていただけることに喜びを感じますし、それは生産者も同じだと思うのです。
しかしながら、販売者は見た目の格付け等級や種別(雄or雌)にこだわり生産者はA5に近づけようと肥育します。
じつはこれって「味」にはまったく関係のないことなのです。
格付け等級が低い評価の牛でもおいしいものもありますし、逆に評価の高い牛が残念な結果になることもあるのです。
生産者にとっては、牛を大きくしてA5等級で高く売れることが喜びであり生産意欲にもつながるのですが、等級が低いとどうしても安価な取引になり生産意欲がそがれる結果となります。
牛が経済動物であり、その恩恵を受けて私たちが生活している以上、仕方がない部分もあるのですが理想は、格付け等級に関わらず安定した価格での取引きができることなのです。
なにか事件がおこると、風評被害が広がり、牛肉離れが起こる。
そうなると消費者の買い控えがおこり、畜産業界全体が冷え込み、苦しくなるわけです。
でも、いちばん辛いのは牛たちなのかも知れません。
サカエヤでは、買い控えるより買い支えることで生産者を応援しみなさんとともに歩んでいき、日本の食に未来に少しでも貢献できればと真剣に思っています。